認知症の予防と改善 原因 1.足の衰え フットセラピーで改善

認知症の予防と改善 認知症とは 挨拶

認知症の予防と改善 原因 1.足の衰え ⑴足首を回す

認知症の予防と改善 原因 1.足の衰え ⑵アキレス腱を伸ばす

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 はじめに

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 足 1. 足首回し

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 足 2. 湧泉のツボ・三陰交のツボを押す

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 足 3. 心臓の反射ゾーン・腎臓・尿管・膀胱の反射ゾーンを押す

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 足 4. 第5趾を回す、もむ

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 足 5. 関節・股関節・リンパの反射ゾーンを押す

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 足 6. 委中のツボ・ミルキングアクション・膝をもむ

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 足 7. エッセンシャルオイルを活用する

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 手 1.手首を回す

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 手 2.心臓の反射ゾーン・腎臓・尿管・膀胱の反射ゾーンを押す

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 手 3.小指を回す、もむ

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 手 4.中指を回す、もむ

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 手 5.労宮のツボを押す

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 手 6.腋窩リンパ節の反射ゾーン・鼠蹊部リンパ節の反射ゾーンを押す

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 手 7.少海のツボを押す

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善 手 8.肘を回す、もむ、腕を搾り上げる

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する はじめに

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 足裏の施術ポイント

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する 足 1.足首を回す

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する 足 2.アキレス腱を伸ばす

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する 足 3.第1趾をまわす、もむ

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する 足 4.第2趾をまわす、もむ

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する 足 5.胃・膵臓・十二指腸の反射ゾーンを押す

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する 足 6.腹腔神経叢の反射ゾーンを押す

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する 足  7.太衝のツボを押す

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する 足 8.大腸・小腸の反射ゾーンを押す

認知症の予防と改善 4.ストレス 足の施術

認知症の予防と改善 4.ストレス 足 1.足首をまわす

認知症の予防と改善 4.ストレス 足  2. アキレス腱を伸ばす

認知症の予防と改善 4.ストレス 足  3. 肝臓・胆嚢の反射ゾーンを押す

認知症の予防と改善 4.ストレス 足  4.心臓の反射ゾーンを押す

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え

脳シンチグラフィ

氷のように冷たい足

 

※ アルツハイマーや認知症の方は、みなさん足が冷たいようです。

 

   私がさわった人の中で一番足が冷たかったのは、畳屋のおばあちゃんです。

 

   冷えた足を足湯で温めようとしました。多少暴れたり、

   じっと座っていられないので、

   おじいちゃんがやや膝を抑えつけながら足湯を行いました。

    途中で何度か足を上げてさわってみるとまだ冷たい。

 

   何度か足湯をして結局1時間、足湯をしました。

    それでも足は氷のように冷たい、未だにあの足の冷たさを覚えています。

    おばあちゃんはアルツハイマーでした。時々暴力もあると言われていました。

 

    脳のシンチグラフィで見ても、アルツハイマーや認知症の方は、

   脳への血流が悪くなっていることが確認できます。

    血流が悪いと脳の神経細胞にも栄養が行かないわけですから

   脳は当然のごとく委縮していきます。

 

    ですから冷えを取り、血流をよくすることもアルツハイマーや認知症の予防や改善に

      かかせないのです。

足湯、半身浴、温冷交互浴

 

1. 足湯・半身浴 温冷交互浴

 [半身浴]5分→1分→5分 (腰湯)

 

  5分=最初かけ湯をして風呂にはいりますが、下半身にだけかけ湯をして、

 

     お風呂に入ります。冬場は特に上半身、肩から上はお湯がかからないように注意してくだい。またバスタオルを肩にかけると保温ができます。

 

     お湯に浸かる位置は、みぞおちまでです。みぞおちのやや左上に

      心臓があります。心臓がお湯の中に浸かると体に水圧がかかり、

      負担がかかるからです。また内臓はみぞおちの下にあるので、お腹はしっかり温めることができます。

 

※全身浴をした場合、全身にかかる水圧は 560Kgになるそうです。

       それで長くお風呂に入っていると息苦しくなるのです。

       体が温まってきたら湯船から上がります。

 

  1分  =体を洗います。従って1分以上はかかります。洗い終わってから湯につかります。体を洗わない場合は1分ほどして、体が冷えてきたらお湯につかります。

 

  5分=湯船に浸かり体がしっかり温まったらお風呂から上がり、水分が残らないようにしっかり体を拭き、落ち着いたら服を着ます。

       冬場は特に体が冷えないように注意してください。

 

 【半身浴】温冷交互浴

 

  5分=最初かけ湯をして風呂にはいりますが、下半身にだけかけ湯をして、

 

     お風呂に入ります。冬場は特に上半身、肩から上はお湯がかからないように注意してくだい。またバスタオルを肩にかけると保温ができます。

 

     お湯に浸かる位置は、みぞおちまでです。みぞおちのやや左上に

      心臓があります。心臓がお湯の中に浸かると体に水圧がかかり、

      負担がかかるからです。また内臓はみぞおちの下にあるので、お腹はしっかり温めることができます。

 

※全身浴をした場合、全身にかかる水圧は 560Kgになるそうです。

      それで長くお風呂に入っていると息苦しくなるのです。

      体が温まってきたら湯船から上がります。

 

  1=水風呂に1分浸かるか、シャワーで全身に水をかけます。

      体の弱い方は膝から下、あるいは足首から下でもかまいません。

      その後、少し間をおいて湯船に浸かります・

      身体を洗う方は、体を洗ってから湯船に浸かります。

 

    ※もし、途中で冷えてきたら体を洗うのを中断して、湯船に浸かります。そして体が温まってきたら、もう一度湯船から出て水を膝から下あるいは足首から下にかけて、体を洗います。

 

  5= みぞおちから下を湯船に浸けて入ります。

 

     湯船に浸かり体がしっかり温まったらお風呂から上がり、水分が残らないようにしっかり体を拭き、落ち着いたら服を着ます。

 

     冬場は特に体が冷えないように注意してください。

 

足湯

[足湯] 15~20

 

 15~20分=足湯を行います。

 

        足湯の温度は4245

     足湯の時間は1520

     お湯の量は、バケツや足湯器の下から20cmほど

     ※さら湯 (なにもはいっていないお湯)は害があります。

 

    1.湯冷めが速い

       2.ミネラル分が奪われる

 

    などの害があります。

      お湯の中に保温ができる入浴剤、生姜、塩などを入れて足湯をすると 足湯           の効果が高まります。

     膝にひざ掛けやバスタオルを掛けて足湯を行うとより保温ができるので足湯の効果が高まります。

      足湯が終わったら、しっかり水分を拭き取ります。

               ふくらはぎやあしの指の間は水分が残りやすいので、念をいれて水分を拭き取ります。

 

【足湯】温冷交互浴 2回

 

  10分→1分→10分→1分→10分→0

   10分  =足湯を10分行います。

 

1分  =あらかじめバケツに水を入れて用意しておき、足を水の中に入 れます。1分が目安ですが冷えてきたらお湯の方へ足を移します。

 

  10分  =足湯を10分行います。

 

       足湯が終わったら、しっかり水分を拭き取ります。

  ふくらはぎやあしの指の間は水分が残りやすいので、念をいれて水分を 拭き取ります.

 

 【足湯】温冷交互浴 3

 

  10分→1分→10分→1分→10分→0

 

    10分  = 足湯を10分行います。

 

1分  = あらかじめバケツに水を入れて用意しておき、足を水の中に入 れます。1分が目安ですが冷えてきたらお湯の方へ足を移します。

 

  10分  =足湯を10分行います。

 

1分  = あらかじめバケツに水を入れて用意しておき、足を水の中に入 れます。1分が目安ですが冷えてきたらお湯の方へ足を移します。

 

    10分  = 足湯を10分行います。

   0分  = 足湯が終わったら、あらかじめバケツに水を入れて用意しておき、足を   水の中に入れます。そして水のなかからすぐに足を引き上げ、しっかり水分を拭き取ります。

 

       ふくらはぎやあしの指の間は水分が残りやすいので、念をいれて水分を拭き取ります。

 

認知症とは

認知症とは

 

認知症とは記憶を失っていくことで、

日常生活に支障をきたし、少しずつ症状が進行していきます。

人の名前を忘れたり、家族や親しい人の名前や顔を忘れたりします。

今までわかっていたことがわからなくなってしまう。

今までできていた動作ができなくなってしまう。

年齢、場所、時間、自分の名前を忘れるなどなどです。

特にいま直前に行っていたことを忘れてしまうことが特徴です。

ひどい場合は、自分では生活できない、生きていくことができなくなる人もいます。

 

認知症の種類

認知症の種類は下記の三つが多いようです。

一番多いのが日本人の 50%以上を占めるアルツハイマー型認知症、

次に多い脳血管型認知症、

そしてレビー小体型認知症

前頭側頭型認知症などです。

またいろいろな種類が混ざっている混合型もあり、

脳血管型との混合が多いようです。

認知症の患者は現在 462万人いるといわれ、老後の不安と同時に

社会問題にもなっています。

アルツハイマー型認知症

 

認知症 アルツハイマー型認知症 

 

アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が徐々に破壊されて、

病気が進むにつれ記憶が衰え、

仕事や日常生活ができなくなっていきます。

しまいには生命を維持していくこともできなくなる病気です。

日本では認知症の50%以上を占めています。

最近のテータによると、アルツハイマー型認知症は

その発生が25年前から始まっていることがわかってきました。

そしてアルツハイマー発生の5年ほど前には、その前兆症状が現れることも

わかってきました。

※前兆症状とは軽い物忘れなどです。

 

レビー小体型認知症

 

レビー小体型認知症

 

パーキンソン病のような小股歩行と手の震え、

それに妄想、幻覚症状の二つががあることが特徴です。

認知症の中では 15% 3番目に多い病気です。

 

私の母もレビー小体型認知症ですが、小股足歩、すり足歩行があり、

妄想があります。その場に誰もいないのに、誰かいるような話や、

空想のような話をします。

 

レビー小体というタンパク質が大脳皮質のドーパミン神経に構築され、

それによって脳の神経伝達が障害されて起こる認知症です。

 

レビー小体とは

 

レビー小体とは

 

レビー小体とは、α-シヌクレインとその他のタンパク質で、

できている円形の構造物です。

α-シヌクレインはアミノ酸のタンパク質で、細胞の膜形成に関わっていると

言われています。

 

α-シヌクレインは中枢神経や大脳辺縁系、迷走神経、

抹消の自律神経などに現れます。

レビー小体は、パーキンソン病やレビー小体型認知症において、

脳内伝達物質のドーパミン神経の中に取り付き、

神経伝達障害を引き起こします。

中脳の黒質細胞のドーパミン神経に取り付いたものが パーキンソン病、

大脳皮質のドーパミン神経に取り付いたものが レビー小体型認知症です。

 

レビー小体の進行

 

レビー小体の中のα-シヌクレインは嗅覚神経系の嗅球と脳幹の延髄に発生し、

その後、脳幹、大脳皮質へと広がっていくという仮説があります。

脳幹では、中脳の黒質細胞のドーパミン神経に取り付いたものが パーキンソン病。

大脳皮質のドーパミン神経に取り付いたものが レビー小体型認知症、

ということになります。

レビー小体がなぜ現れるのかはまだ解明されていません。

Wikipedia 参照

 

脳血管障害型認知症

 

認知症 脳血管障害型認知症 

 

脳梗塞、脳出血などにより脳の一部が破壊され

その破壊された部分の働きが衰える病気です。

認知症の中で25%と二番目に多い病気です。

脳梗塞、脳出血などがさらに重なって起こると、

認知症の症状が段階的に一気に悪くなっていきます。

 

前頭側頭型認知症

 

前頭側頭型認知症 

 

毎日、同じことを何回も繰り返します。

()・近所のスーパーに毎日まんじゅうを買いにいく

    ・毎日同じ時間に同じ散歩のコースを歩く
  ・急に酒をたくさん飲みだす
  ・物を盗むのは 悪いと思わない

 

散歩などでも道順は必ず同じコースを時間どおりに行います。

また自分勝手な行動をするのが特徴です。

自分の思い道理にならないと怒りだしたりします。

車の運転では信号や交通規則を平気で無視します。

高速道路の逆走などなどもそうです。

身内ははらはらしますが本人はけろっとしています。

記憶は意外と悪くなりません。

認知症の中では5%と少ないですが、注意が必要な厄介な病気です。

 

混合型認知症

 

混合型認知症 

 

脳血管障害型認知症とアルツハイマー型認知症が同時に、

あるいは時間をおいて起こる

など認知症が重なって起こる病気です。

脳血管型との混合型が一番多いようです。

認知症が重なっいるだけ症状も複雑になってきます。

 

認知症の原因

認知症の原因 認知症は脳の病気ではなかった

認知症の原因 真の原因

 

中医学では認知症という言葉はなく、呆症、健忘症と言われています。

その言葉通りで、若年性などの例外を除いて、

老化による身体の様々な衰えや体の不調により認知症が起こっている

と考えれば納得できます。
それは身体の具体的な衰えを改善したり、

体の不調を改善すると認知症が改善されていることから明らかです。

認知症は脳の病気であるということにこだわり過ぎて、

治療法がなかなか見つからなかったのです。

様々な体の衰えや不調が脳に悪い影響を与えて認知症になっていたのです。

アルツハイマー型認知症の原因 一般的には

アルツハイマー型認知症の原因は 一般的には

 

 

アルツハイマー型認知症は 

アミロイドβが堆積し繊維化することで、脳にしみのような老人班を作り、

それが脳の神経細胞を破壊する。

また活性酸素によって脳の神経細胞が破壊される。

さらにまたトランス脂肪酸のような添加物の多い脂によっても

脳の神経細胞が破壊されるといわれています。

 

 

アミロイドβは、普段はインスリン分解酵素というものが分解処理

 

してくれるのですが、 脳内のインスリンの濃度が上がってくると、

 

脳は糖の代謝を正常に戻すため インスリンを分解しなければなりません。

 

インスリン分解酵素は アミロイドβの分解処理を差し置いて優先的に

 

インスリンの分解のほうに回り、手いっぱいになります。

 

その結果アミロイドβの分解がおろそかになり、アミロイドβが繊維化し

脳の神経細胞を破壊してしまいます。 

 

脳にとって糖は唯一の栄養なので糖が脳内に入ってこないと

緊急事態となります。しかし糖が多すぎても困るのです。

唯一の栄養である糖の代謝は繊細で、何重にも安全装置が働き、

微妙な調整がなされているのです

 

九州大学の中別府雄作教授が、

 

「認知症は脳の糖尿病だ」

 

と言われています。

認知症の 50%の人は糖尿病であることからも、そのことが証明されます。

 

アミロイドβ(APP)の機能

アミロイドβ(APP)はさまざまな機能を持っているらしい。

完全な(intact)タンパク質として、Gタンパク質共役系を通じて

レセプタータンパク質として働いたり、

細胞外のヘパリンやラミニンといった多くの構造分子と結合することから

細胞接着にもかかわっているらしい。

 

Gタンパク質共役系 = グアニンヌクレオチド結合タンパク質

体内には大量に存在し、細胞の増殖などに関わっている

Bio Wiki アミロイド前駆タンパク質 より参照

 

脳関門

脳関門


脳の成分は、水 75%、脂肪12.5%、たんぱく質12.5%といわれています。

脂肪は脳の不可欠な構成成分で、水以外の脳内成分の 50%以上を占めています。

脳は栄養を血管から得ていますが、神経細胞の周りには脳関門があります。

血管から栄養が神経細胞内に入る時、この脳関門で厳しいチェックがあります。

脳関門は体にとって、いいものは受け入れて、悪いものは排除します。

 

脂肪は脳にとっては必要な成分です。

ですから脂肪はこの脳関門をフリーパスのように通っていきます。

しかし、有害物質や有害金属は賢くてこの脂肪を利用します。

脂肪の中に紛れ込んで何とか脳の神経細胞の中に入り込もうとします。

脳関門がいくら厳しくチェックしても脂肪の中に潜んでいるいる有害物質までは

見破れないのです。

トランス脂肪酸のような脂肪の中に混じっている添加物や有害金属などは

特に見破れないのです。

 

 

アルツハイマー病の発症年数

 

アルツハイマーの発症年数

 

 ●アルツハイマー病は、発症まで25年かかる

 

1ゾーン』  25年前から少しずつ病気が進行していくが自覚症状はない

 

2ゾーン』  アルツハイマー病発症の5年ほど前から軽い症状が出始める

 

3ゾーン』  25年目にアルツハイマー病発生 

 

 ●アミロイドβが徐々に蓄積していくに従って記憶力が低下する

  アミロイドβはたんぱく質で、脳で働いた後に蓄積していくと

  脳の神経細胞を破壊する (アミロイドβ蓄積線)

 

 ●海馬記憶力は、アミロイドβの蓄積が進むと反比例して落ちていく

 

             (海馬記憶力線)

 

 ●アルツハイマー対策 (現代医学の立場から)

 

 『1 ゾーン』  認知症の発生を遅らせると、認知症にならないで済む人が増えてくる

 

 『ゾーン』  ・認知症の進行を抑える薬 シロシタゾールなどが開発されている

 

         ・インスリンを鼻から嗅神経に直接投与し進行を抑える

 

 『3ゾーン』  今のところ有効な治療法なし

 

●アルツハイマー病の発生を減らしていくために (生活全般を見直す立場から)

 1 ゾーン』で予防をし、アルツハイマーの発症を遅らせることが最重要課題です。

 

アルツハイマーの原因等、いろいろとわかってきました。

 「そのうち新薬が開発される」ではなく、具体的な方法で対処していきましょう。

 2ゾーン』『3ゾーン』でも具体的な改善方法がみつかりつつあります。

 

 NHKテレビ参照

 

私は誰になっていくの?

 

私は誰になっていくの? 

 

 『ノーマライゼーション 障害者の福祉』20086月号 より

 

 文学に見る障害者像

 クリスティーン・ボーデン(ブライデン)著 桧垣陽子訳

 『私は誰になっていくの?―アルツハイマー病者から見た世界』

 ―最後まで一人称で語られる、勇気ある女性の奇跡のストーリー

 

上沼美由紀

 著者のクリスティーン・ボーデンはオーストラリア在住。1995年5月、46歳という若さで脳に萎縮が見られるアルツハイマー型認知症と診断された彼女の体験記である本書は、

 「アルツハイマー病の本人が書いた本」

 として大きな反響を呼び、クリスティーンのその後の活動とともにメディアでも大きく取り上げられている。

 発信する認知症患者のパイオニアである彼女が書いたこの本には、病気によるハンディをばねに変え、新しい人生を踏み出していく一人の勇気ある女性の姿が丁寧に記されている。

 さらに、本書は医学的見地に基づく包括的な知識を背景に、患者本人の体験を通じた具体的病状や心情を伝える貴重な資料であり、また、患者を取り巻く社会に一石を投じる啓発書としても極めて重要な役割を果たしている。

 

1999年に再婚し、クリスティーン・ブライデンとなった彼女は、本書の発行から6年後の2004年に続編である

 『私は私になっていく―痴呆とダンスを』

 を出版。認知症患者支援活動のため、ケア・パートナーでもある夫とともに精力的に各国に出向き、日本にも数回来日、講演も行っている。

 言い渡されたシナリオ

 激しい偏頭痛に悩まされ、病院で検査を受けることになったクリスティーン。その頃の彼女を社会的な側面から簡単に紹介すると

 「学生時代から人並外れた優秀な能力を誇り、語学力においては世界でもトップクラスの成績を残し、オーストラリア政府の上級行政官として輝かしい業績を打ち立て、科学技術への貢献に対して国家公務員勲章を授与されている女性」

 だろうか。

 これだけ聞けば、実生活の充実ぶりも想像するに難くない気がするが、このスーパーウーマンが歩んでいた人生はさほど単純なものではなかった。

 当時の彼女の日常は、まるでセコンドのつかないまま試合を続けるボクサーのよう。

 「職場では理不尽な改革を阻止しようと奮闘し、報われない結果をストレスとともに受け入れ、家庭では暴力をはたらく夫をもつ妻として、また、3人の娘を守る母として凄まじいプレッシャーにさらされ、人生をやり直すために起こした離婚訴訟の真っただ中で悪戦苦闘している女性」

 が彼女のもう一つの顔だった。

 頭痛、混乱、物忘れ等はすべてこうした困難な状況の中で生じた一時的な不調であって、自分に必要なのは長い休息だ、と彼女は思っていた。

 けれど実行したのは、耐え難い偏頭痛の治療のため医者にかかることだった。医者は脳に腫瘍ができていないかを確認するためにCTとMRA検査を行い、後日その結果を持って訪ねた専門医で、彼女はこの病気と診断された他の多くの患者と同様の耐え難い体験をすることとなる。

 渡されたスキャンの画像を見た神経科医は、無神経な態度で

 「脳にアルツハイマー病に特徴的な萎縮が見られる」

 ことを告げ、得意げにでも見えるような感じで「早期退職」を勧め、気楽な調子で

 「痴呆がひどくなるまでにだいたい5年で、おそらくその2、3年後には死ぬ」

 ことを伝えたのだ。当然、彼女は打ちのめされた。

 この本の原題は

 who will I be when I die ?“

 「死ぬ時私は誰になっているのだろうか」

 である。そこには、

 「アルツハイマー病のシナリオ」

 をそのままわが身に当てはめていたクリスティーンの底知れぬ不安が窺(うかが)える。

 配慮を欠いた告知を受けた場合、患者は自分が病に侵されていることを知った動揺を抱えたまま、今後の予見不可能な事態、やがて待ち受ける抗(さから)いがたい死、などそれぞれ次元の違う困難な問題のすべてを一挙に受け止めることを強いられる。

 どのような人であれば、それが可能なのだろう。そして、それは必然のことなのだろうか。本当に治療法もなく、何の望みもない病気なのだろうか。

 深い信仰心と周囲の励ましに支えられ、何とか衝撃を乗り越え自分らしさを取り戻したクリスティーンは、愛する娘たちのために正面から病気と対峙することを決意する。

 そんな彼女の目に、多くの誤解にまみれた「認知症」というレッテルを貼られ、病による不自由さに加えて、周囲の無理解、社会的な差別や偏見といった病気以上のものに苦しむ患者たちの姿が映ってくる。

 認知症は、広義では脳の損傷により機能が衰えていく病気の総称であり、本書の説明によれば約70の原因あるいは型があるという。アルツハイマー病はその代表といえるだろう。

 「ぼけ」や「痴」「呆」といった認知症のイメージが個人の真の姿を払拭し、一様に空虚で無力な存在とすることがあるのは否めない。

 支援のほとんどがその介護者の方へ向けられている傾向にも驚いたクリスティーンはひとつの指針を得た。

 自分や娘たちのためだけでなく、同じ病気で苦しむ患者たちのために、この

 「死に至る病気」

 の取り上げ方について考え直す必要性を訴え、この「身体的な病気」の理解を広げなくてはならない。

 「いまや自分に求められているものが何であるかがはっきりしてきた」

 彼女は、自身の認知症患者としての歩みを記録することになる。

 ここにきて、彼女の患者としての体験はすべてが意味をなすこととなり、病気になる前に切り開いてきた人生もまた、新しい輝きを放ち始める。

 奇跡の本

 クリスティーンの本が出版され、彼女の存在が認められていく上で、彼女の能力や過去の経験が役立っていたことは明らかだ。

 だが、それ以上に、彼女自身の置かれていた状況もまた、非常に望ましいものだったのではないか。

 早い時期に診断を受け、投薬を受けていたことは記憶機能の維持を助け、頼るにはまだ幼すぎる娘たちとの生活は、脳の損傷部周辺に新しいネットワークを作るに十分な刺激とトレーニングを提供したことだろう。

 役人だった時の高いステイタスや、

 「仕事面では誰一人、私の行動に何か問題があると思う人はいないようだった」

 ことは、彼女の発言を無視できないものとし、退職後わずか3年で出版された本の信憑性を高めるものであったはずだ。

 そして当初、彼女がアルツハイマー病と診断されていたことも大切な要素であったかもしれない。

よく名前が知られているこの病気の「常識」が間違っていることを彼女が身をもって体現したことで、世間は驚き、医学業界に衝撃が走った。他にも多くの幸運が道筋を切り開

 き、彼女の本は日本を含む数か国で翻訳出版され、私たちはクリスティーンに出会うことができた。

 言葉に関する障害について、彼女が紹介するエピソードがある。

 ―「鍋が沸騰しているから、火から降ろして」

 と言いたいのに言葉が頭に浮かばず、

 「バナナのようになっていくわ!」

 と叫んでいた。―機能の低下で情報処理に時間がかかり、意に反して黙り込むか、あらぬことを口走ってしまうのだ。

 記憶や見当識障害についても、単なる病状のみでなく、そこから二次的に引き起こされる不適応行動、そして内なる感情が自身の言葉で語られる。

 アルツハイマー病の人が

 「何もわからない」

 というのは嘘である。

 彼女の出現がどれだけ多くの患者や家族の救いになったかは言うに及ばない。だが、同時に彼女に対し不快な逆風も向けられる。

 認知症患者であることが疑われるような事態も生じた。脳に損傷のある患者が論理的に語ることができる、ということは、医学的常識では受け入れ難いことなのかもしれない。

 

あるいは、もっと深い問題につながっているのか。病気の概念に合わない能力を発揮したクリスティーンは、1998年の検査で前頭側頭型認知症と再診断されている。

 世の中にはさまざまな病を抱える人がおり、同じ病気であっても病状はそれぞれだ。自らの言葉で語られる闘病記は、同じ病気に苦しむ人に勇気や希望を与えるだろう。

 その積み重ねが結果を残し、新たな常識が生まれれば、古いものは打ち捨てられる。

 もし、偏狭な枠組みに邪魔をされ、認知症の人々が自から発信する機会を失っているとしたら、それは大変に残念なことだ。

 クリスティーンのこの本は、認知症を生きる人々のみでなく、現在認知症に関わりのない人々にとっても、生きることの意味、人と人との関わりの大切さを再認識させてくれる貴重な贈り物だ。

 医学が提供する治療だけが人を救う術ではないことや、失ったものの代わりに得られる何かがきっとあることを、彼女はその真摯な姿勢で私たちに教えてくれる。

 だれも答えてくれなかった質問に対しての多くの答えがここにある。続編と合わせて、何度も読み返したい奇跡のストーリーである。

 (かみぬまみゆき ハルネット主宰)

 

〈文献〉クリスティーン・ボーデン著『私は誰になっていくの?』桧垣陽子訳、クリエイツかもがわ発行、2003年10月

 

認知症の歴史 (日本)

認知症の歴史 (日本)

認知症の歴史 (日本)

 

ぼけ(呆け)という言葉があります。

 漫才では、ぼけとつっこみが芸を披露します。

まず、つっこみが相手のぼけに話を始めます。

ぼけはとぼけた感じで、わかっているようなわかっていないような

仕草で話に絡んでいき観客を笑わせます。

ぼけ(呆け)とは、わかっているようなわかっていないような感じで、

とぼけた人を示したり、

軽い物忘れや話していても意味が通じない本当のぼけも示していました。

 

 「あの人ぼけとるんとちゃうか」

 「あの人はぼけているから相手にしてもだめ」

 

と社会生活についていけないことを示していました。

老化現象であるということで、

まだ病気としてはとらえられていなかったのです。

 

その後、昭和47(1972)、有吉佐和子の『恍惚の人』という本によって、

このことが公に知れ渡ると『痴呆』という言葉が広がりました。

呆けは痴呆と呼ばれはじめました。

ただこの頃の痴呆は精神病として扱われたので、

多くの痴呆の患者は精神病院に送られました。

そしてその精神病院での待遇はひどいものでした。

ベッドで拘束され、薬漬けの入院生活を余儀なくされ、

屈辱と地獄の世界を彷徨っていたのです。

 

※そもそも『痴呆』という言葉は巣鴨病院の院長であった

秀三が唱えたと言われています。

 

秀三は江戸時代生まれで、

日本の精神医学の基を建設した人として有名です。

さらに年月が経ち、老人福祉の考えが広まっていくにつけ、

 

また痴呆と言う意味は、

劣っている、愚劣であるなどの差別用語でもあったため、

平成16(2004) 厚生省により『痴呆症』という名称が『認知症』に改められました。

病名としてはまだ痴呆症として扱われていました。

当時この痴呆症の治療に当たっていた医師はごく限られていたのです。

 

今では痴呆症という病名もなくなり、認知症と呼ばれています。

しかしながら認知症はマイナーな医療として捉えられ、

認知症のことをよく理解、研究、実践している医師はごくわずかです。

残念なことですが、認知症のことをよく理解していない医師にかかると、

治るものも治らない、それどころか病状が返って悪化し、

歩行困難や寝たきりにさえなっているのです。

 

恍惚の人 有吉佐和子

 

恍惚の人 有吉佐和子

 

 

郊外で悠々と生活していた家族をある病が襲う。

姑の死をきっかけに80代の舅の呆けが始まる。

いじめ、暴力、暴言、徘徊、不潔行為、便を家のあちこちに塗り付ける舅。

夫は無関心、親戚は口だけはさむ、病院といえば精神病院だけ。

介護施設もないし、医療の保護もない。

 

結局、舅の面倒を自分ひとりでみる羽目になった嫁は、ボロボロになっていく。

第三者も家族も親戚もあてにならないなかで地獄の生活が続いていく。

挙句の果てに舅は寝たきりになり全生活介護、

そして壊れそうになる家庭。

自分1人で舅を介護する嫁は気が狂いそうな日々を送る。

 

最後は舅が衰弱して死んでしまうことで幕が引かれるが、

この恍惚の人が出版された昭和47(1972) は日本の平均寿命は

女性が75歳、男性は70歳を越えたばかりであった。

まだ感覚としては人生60年という時代に構想された作品であり、

将来の高齢化社会を描いた有吉佐和子の洞察力と社会への問題提議が光る。

 

その後に書いた『複合汚染』も社会の問題を鋭く描く。

社会派小説家として有吉佐和子の名を日本中に轟かせた堂々の作品だ。

わたしたちに貴重な提案をしてくれた有吉佐和子さんに感謝します。

ありがとうございます。

 

認知症は脳の病気ではなかった

認知症は脳の病気ではなかった。

 

認知症を脳の病気と限定して考えてきたことで、袋小路に入ってしまっていたのです。

認知症を体全体の問題と捉えることで出口が見えてきています。

認知症は体の各部分の不調が脳に影響を与えているのです。

ですから、体の各部分の不調を改善すると、認知症も改善しています。
認知症の原因は体の各部分にありなのです。

認知症 医者の選び方

 

認知症 医者の選び方

 

 

認知症は治らない病気だと思われています。

医者の間でも治らない病気だということが通説になっています。

その結果、認知症はマイナーな病気だということで

認知症に真剣に関わる医者が少ないのです。

そのことが認知症の悲劇となっています。

 

認知症を勉強していない医者にかかると、

薬の処方ひとつで、今まで歩いていた人が寝たきりに、

暴力や徘徊がさらにひどくなってしまったりすることもあります。

逆に、よく勉強した医者が薬を処方すると症状が劇的に改善したり、

さまざまです。

では家族が認知症になった場合どの医者にかかったらいいのか、

見当もつかず途方に暮れます。

 

どんな先生が認知症をしっかり診てくれるのか、

その先生はどこにいるのか、さっぱりわかりません。

 

河野和彦先生浦上克哉先生長尾和宏先生西崎知之先生

などは認知症の現場で長年、実践をされていて信頼ができるようです。

認知症の改善方法もつかんでおられます。

 

中でも、河野和彦 (こうの かずひこ) 先生は

 『コウノメソッド』

 という認知症の薬の処方のバイブルとでもいうような

認知症改善の手順と薬の処方について細かく指導されています。

ご家族が認知症になったら、

まず

『認知症は治る』河野和彦

をご覧ください。

そしてそこに紹介されている全国の

『コウノメソッド実践医』

の元を訪ねてみてはいかがでしょうか。

 

認知症改善の手がかり

認知症改善の手がかり 1

 

認知症改善の手がかり 1

 

河野和彦 (こうの かずひこ) 医師

 

 

認知症は治らない病気と言われています。

また認知症は治らない病気と思っている医者が多いのです。

そしてその結果、

認知症はマイナーな病気だということで認知所を避けたがる医者が多いのです。

現在、認知症は治らない病気ということで、

またよく理解していない医者のところで治療せざるを得ないのが現状ですが、

薬の処方ひとつで、認知症の症状がさらに悪くなったり、

歩いていた人が寝たきりになったり、

暴力や徘徊が逆にひどくなったりします。

 

認知症をよく勉強した医者のところで治療すると、

症状が改善することが多いのです。

 

河野和彦  医師は、

河野和彦著

『認知症は治る』

そして

『コウノメソッド』

で訴えています。

 

認知症治療のバイブルとでもいう認知症改善の手引書です。

認知症治療の実践で28年間行ってきた彼の努力の結晶です。

   

認知症改善の手がかり 2

認知症改善の手がかり 2

 

認知症改善の食べ物

 ⑴抗酸化物質

 

抗酸化物質 ポリフェノールを含む食品があげられます。

特に植物由来の油脂はポリフェノールをたくさん含んでいて、いいようです。

・米ぬか油 フェルラ酸

・ココナッツオイル ラウリン酸

・アマニ油   αリノレン酸、リグナン

・オリーブ油  オレイン酸、リノール酸

 

活性酸素は認知症の原因のひとつです。

活性酸素を取り除くことも大切です。

 

⑵脳内神経伝達物質

 

脳内伝達物質の代表ともいえる アセチルコリンを多く含むもの。
【たんぱく質】

・大豆レシチン ・納豆

・卵

・菜種 ・ひまわりの種

・豚レバー ・にしん

 

脳内伝達物質 ドーパミン などの原料 グルタミン 酸を含む食品。

【うまみ成分】

・昆布

・かつお節

認知症の原因のひとつに脳内伝達物質の減少があります。

脳内伝達物質を増やし、神経伝達の改善が大切です。

認知症は食べ物でも改善ができるようです。

毎日の食事の改善と工夫が必要です。

認知症 知らないと怖い薬の処方

 

認知症 知らないと怖い薬の処方

 

認知症の治療で怖いのは、医者の選択を誤ることです。

特に薬の処方次第で、認知症の症状が微妙に変わってしまいます。

暴力がさらにひどくなったり、徘徊がさらに増えたり、

うつ状態がさらに悪化したり、ひどい場合には寝たきりになったりです。

認知症のことをしっかり勉強し、実践を重ねている医者に

診てもらわないと大変なことになることも多いようです。

 

認知症はまた、よく似た症状の病気 うつ病、脳梗塞、パーキンソン病、

水頭症などの病気があり、

それ等をしっかり見極めて治療、薬の処方をしなければなりません。

ですから認知症治療の実践や経験が大切になるのです。

もし家族が認知症になったら医者選びは慎重にした方がよさそうです。

 

認知症の予防と改善 原因 1.足の衰え

⑴ 筋肉は不死身

⑴筋肉は不死身

 

人は足から衰えると申します。

足が弱ればすべての体の機能が弱っていきます。

赤ちゃんは、首が座ってきてから寝返りをするようになります。

それから次はお座りとハイハイです。

そして、立ち上り、よちよち歩きを始めます。

歳をとって体が衰えてくると、

この赤ちゃんの成長の逆をいくようになります。

歩けなくなる、立てなくなる、お座りができなくなる、

そして寝たきりへとなっていきます。

 

たった一歩、歩けることがどれほど有り難いことであるかは、

介護の現場では誰もが感じることです。

たった一歩、歩ければ簡易トイレで用を足すことができるのです。

歩けることは人間の尊厳とやる気を導き出してくれるのです。

筋肉は衰えていきますが、ありがたいことに訓練すれば、

何歳になってからでも筋肉がついてくれるのです。

金さん銀さんが100歳を越えて、筋トレをしていた姿は今でも頭の中に残っています。

 

⑵ 筑波大 久野譜也 先生の実証

認知症の予防と改善 原因 2.脳への血流・冷え フットサラピーで改善

⑵筑波大 久野譜也 先生の実証


歩くことの大切さ

 

筑波大の久野譜也先生は、茨城県の大洋村の村長さんの協力を得て、

認知症と筋肉の関係を実証されました。

 

1.歩くこと、2.筋トレ、3.ストレッチ

 

を行うことで、認知症の予防ができ、さらに改善することを実証されました。

それから、ステップ運動が全国に広まって行きました。

※ステップ運動

 低い台を用意して、その台を昇ったり降りたりすることです。

人間にとって、歩くことが、いかに大切であるかを証明されたのです。

 

認知症の予防と改善 原因 3.便秘

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘が蔓延している

 

 便秘が蔓延している】

 

日本人は便秘の人が多く、その処方箋や薬局で便秘薬を

買っている人が5000万人いると言われています。

そしてその購入金額は 1兆円にもなるというデータもあります。

 

特に若い女性、女学生にも便秘が多く、1週間や2週間出ないのは

当たり前というような現状です。

腹痛で救急車で救急外来に運ばれてくる女学生も多くさんいます。

 

そして動かない、歩かない高齢者にも便秘は蔓延しています。

 

便秘になると、有毒ガスが発生、腸内環境も悪化し、血液が汚れてきます。

腸内環境の悪化は免疫力を低下させます。

血液が汚れてくることで、肝臓も影響を受けます。

毒素を排出すべき肝臓が犯され、その機能 解毒作用が弱まります。

そして全身に汚れた血液が回っていきます。

活性酸素が発生して脳や内臓も被害を受けるのです。

 

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 認知症は水で治る

【認知症は水で治る】 

 

国際医療福祉大学

竹内先生は『認知症は水で治る』という本を出版されました。

これは介護の現場での先生の40年という実践の中から

導きだされてきました。

  • 水飲む 
  • 栄養を十分に取る
  • 軽い運動をする
  • 便秘を解消する

上記の四つのことを実行するだけで、かなりの方が認知症が改善されています。脳だけ見ないで、体のほうの認知症に関係があると思われる原因を取り除けば認知症が改善されているのです。

 

※竹内先生の指導のもと、愛知県のある福祉施設で上記4点を徹底して実施したところ、

  3年間で、入所者全員の オムツを取ることができたそうです。

 

 

※ 国際医療福祉大大学院 教授 竹内孝仁が田原総一朗と対談形式で語る。

 

大事なことは

「認知症は治るんだ」と知ることです。

リハビリの権威にその謎を問う!

 

たった4つの習慣でみるみる治る!

オムツはずし運動に取り組み、40年にわたり多くの認知症患者さんを治してきた竹内理論のすべて!

 

「4つの基本のケアをすれば3分の2がよくなります。治らない3分の1の人も、ショッピングにいくなどその症状にあわせたケアを展開すると2~3カ月で改善します。」

 

※評論家の田原総一郎は竹内孝仁教授の講演を聞き、感動したそうです。

 その結果、竹内先生と田原総一郎の対談が実現しました。

 そして、その内容が本になったのが、『認知症は水で治る』

 という本です。ぜひご覧ください。

認知症の予防と改善 原因 3. 便秘 資料

 

【便秘を解消する 資料】

 

 便秘は万病の元、便秘解消はどの病気でも必須条件です

 認知症・アルツハイマーでも便秘によって症状が進行していく。

 第一に自然に自分の力で便秘が解消されること

 そのために、さまざまな工夫が必要だ

 便秘を解消することと、水をしっかり摂ることと、軽い運動で

 3年間で入所者全員のオムツが取れた福祉施設がある。

 

 水をこまめに飲む

 

1日に失われる水分          1日に摂るべき水の量     

 

  尿     1,3001,500ml          飲料水  1,3001,500ml  

    便       200ml             食事    800ml

    不感蒸泄    800ml             代謝水   200ml

 

  計     2,3002,500ml                   計     2,3002,500ml  

 

※不感蒸泄:毛穴などから自然に出ていく水の量

 

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 便秘を解消する

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 腸内環境の大切さ

 

【腸が整えば健康になる、腸は健康の要】

 

・腸内環境が乱れれば、免疫力はがた落ちです。
・腸内環境を整え、腸のもつ本来の力を出すことが必要です。

 

認知症の予防と改善 原因 3.便秘 免疫とは

 

【免疫とは】

 

体外や体内の細菌やヴィールス、外敵から人体を守ってくれる仕組みです

人体防衛軍のことです。腸の中に60%が存在します

免疫細胞たちが協力して外敵を倒してくれます

 

認知症の予防と改善 原因 3.便 腸は第2の脳

 

【腸は第二の脳】

 

口から肛門までの消化管は体内であり対外でもある。

 そこは細菌やヴィールスの密集地帯。これらと常に闘うことが必要。腸に人体防衛軍の本拠地がある

腸は体にとって敵か味方かを瞬時に見分ける能力が要求される

腸は体にいいもの、悪いものを瞬時に見分け栄養をすばやく体内に吸収する

糞便移植とは

 

【糞便移植とは】

 

・大腸の難病や免疫疾患に朗報

 

・腸内環境 (腸内フローラ)を改善

 

・画期的な糞便移植

 

・日本でも治療開始

 

 

私たちの腸内環境(腸内フローラ)を変えることは難しいが、

この糞便移植は劇的な変化を生みだしてくれるようだ。

欧米ではすでに医療として、この糞便移植が行われていて、

C.difficile(クロストリジウム・ディフィシル感染症) 菌感染腸炎

(抗生剤長期投与による難治性腸炎) では、ほぼ100%

炎症性腸疾患では約 70%が寛解し、

糖尿病、肥満、自己免疫疾患などその他の疾患にも応用が始まっている。

欧米ではすでに多くの治験例があるが、

日本ではオランダの研究チームの結果を受けて、

1 例目として慶応大学が 20153月下旬に、

潰瘍性大腸炎の 40歳代男性の腸内に親族の便を移す移植を行った。

 

ウィキペディア より

 

認知症の予防と改善 4.ストレス 足  5. 肝経の経絡 第 1趾をまわす、もむ

認知症の予防と改善 4.ストレス 足  6. 胆経の経絡 第 4趾をまわす、もむ

認知症の予防と改善 4.ストレス 足  7. 肝経のツボ 太敦・太衝のツボを押す

認知症の予防と改善 4.ストレス 足  8. 胆経のツボ 竅陰・臨泣のツボを押す

認知症の予防と改善 4.ストレス 足  9. 踵をもむ

認知症の予防と改善 4.ストレス 足  10. 足の裏を叩く

認知症の予防と改善 原因 4. ストレス

認知症の恐怖

 

認知症の恐怖

 

あなたがもし自分が認知症になった場合を想像してみて下さい。

どんな気持ちになると思いますか。普通ではいられないと思いませんか。

自分がだんだんわからなくなっていくことを考えると平気ではいられません。

死の恐怖で最も怖いのは自分というものがこの世の中から亡くなってしまう

ことだと思います。

 

同じように、認知症では肉体は元気でいても自分という意識がなくなってしまう。

この怖さは死と変わらないほど辛いものではないでしょうか。

毎日毎日その恐怖に耐えて生きているのです。

それが、じわじわと迫ってくる恐怖は計り知れません。

誰もそのことで自分を助けてはくれないのです。

毎日毎日そのストレスが増していくのです。

そこに更に新たなストレスが加われば、心も体も悲鳴を上げてしまいます。

持ちこたえることができなくなってしまいます。

 

実際、ストレスは活性酸素を量産し脳細胞を破壊していきます。

またストレスは糖尿病の原因のひとつでもあります。

糖尿病も脳細胞を破壊していきます。

 

突然の暴力や徘徊には、どうやらストレスがからんだ背景があるようです。

また、逆にストレスの解消で暴力や徘徊が治まった例もあるようです。

ですから、本人にストレスがかからないような生活を

家族や周りの人が心がけることが大切です。

 

認知症 の原因 ストレスの解消 中医学

 

認知症 の原因 ストレスの解消 中医学 1-2

 

東洋医学ではストレスのダメージを一番受ける臓器は肝といわれます。

肝は、疏泄を司るといわれます。疏泄とは全身に気や血をまんべんなく

送るということです。

また血を臓するといわれます。血を臓するとは血を作り出して貯蔵し、

必要に応じて血を送り出します。

それゆえ肝は新陳代謝や自律神経と最も関係が深いといわれます。

それと肝の調子が悪いと脾に悪影響を与えます。

この肝が脾に悪影響を与える関係を相剋といいます。

ですから間接的にダメージを受ける脾の手当ても必要です。

 

相生(そうしょう) 体にとっていい循環、いい影響をおよぼしあう

相剋(そうこく)  体にとって悪い循環、悪い影響をおよぼしあう

 ※下図 五行論 相生相剋図 参照

 黒色の実線 → 相生

 赤色の実線 → 相克

 

ストレスと認知症と糖尿病

 

ストレスと認知症と糖尿病

 

糖尿病の三大原因は肥満、食べ過ぎ、ストレスです。

体はストレスがかかると、交感神経が強く働き、

インシュリンの分泌が増えます。

ストレスがかかり続けるとインシュリンは出っ放しになります。

そうすると今度はインシュリンの分泌が思うようにできなくなります。

その結果、血糖値は上昇し糖尿病になりやすくなります。

血糖値の上昇は同時に脳の神経細胞を破壊していきます。

九州大学の中別府教授は、

認知症は脳の糖尿病だと言い切っておられます。

 

またストレスによる影響で不安、恐怖、怒りなどの感情を引き起こし、

直接、脳にダメージを与え、脳の神経細胞を傷つけます。

特に命令口調や、上から目線でものを言う人に対する不満、

無理矢理 手足をつかまれて動かされることへの反発、

むやみに手足を拘束され自由を奪われることへの反発、

あなたなんかいない方がいいと思われていると感じ絶望感を味わう、

などは認知症の患者さんに強烈にストレスをかけ、

人間の尊厳やプライドをずたずたにしてしまいます。

そして徘徊が増えるようになったり、暴力行為がひどくなったり、

認知症がひどくなり寝たきりになるようなパターンが多々あります。

 

ストレスがいかに認知症に影響を与えているか、

いかに認知症の患者さんを駄目にしているかは、

ユマニチュードのイブ・ジネストさんがおっしゃる通りです。

 

認知症の予防と改善 原因 3.ストレス 1.西洋の精神医学の歴史とストレス

 

 

【西洋の精神医学の歴史とストレス】

 

<古代ギリシャ・ローマ>

 

紀元前4世紀、ギリシャのヒポクラテスの時代は、

自然治癒力、環境、薬草などを病気のことを総合的に研究しており、

ストレスという言葉はなかったものの、

精神に関わることも病気の原因として

丁寧に取り組んでいたものと思われます。

『てんかん』は悪魔のしわざ、神の罰だとして病気ではない

という考えが主流でしたが、ヒポクラテスはてんかんを病気として

とらえていたようです。また『ヒステリー』や『メランコリー』という言葉はギリシャが語源のようです。

 

帝政 ローマのガレノスはギリシャのヒポクラテスの医療をさらに発展させました。

そして解剖なども開始していました。

 

しかしローマ帝国では医者の地位は高くなく、

外注で済ませていたようです。

ローマ人は忙しくて、医療に従事することを由としなかったのです。

そのため占領地から医者を連れてきて、

その医者に病気を診させていたようで、医者のことを

奴隷医と呼んでいました。彼ら奴隷医は実績を上げると、

ローマ市内で開業することができるなどの特典を与えられていました。

また床屋や銭湯の店主が外科医として看板を揚げ、

瀉血、骨折などの簡単などの外科治療を行っていました。

ローマでは病気に対する関心は怪我や負傷などの手当てが中心でした。

ストレスや悩みなど精神的な病気への関心は薄かったようです。

精神を患った人、頭がおかしい人、普通でない人は

異常な人として牢屋に入れられていたのです。

人々の悩みやトレスやなどはキリスト教の司祭などが主に行っていた

のではないかと想像します。

 

 <ヨーロッパの中世>

 

476年のローマ帝国滅亡の後、15世紀末までを中世といい、

キリスト教全盛期となります。

そして1453年の東ローマ帝国滅亡までの約1000年間、

キリスト教と封建国王の支配体制の時代を、

一般的にはヨーロッパの暗黒時代と言われます。

  

 

しかし何でもかんでも駄目だったわけではなく、

農業、造船、建築などでは技術の改革がみられます。

また医学に関する資料は少ないですが、6世紀にはベネディクト教団が現れました。

看病や医療、薬草園の設立を行うことを活動の重点にしていたのです。

またホスピタルも生まれました。今の病院とはほど遠いですが、

旅人や孤児を泊めたりしました。主に修道院で行われていました。

この時代の医学を教父医学、教会医学、僧侶医学といいます。

 

医学の普及と研究に熱心な国王もいて、

特に東ローマ帝国のフリードリッヒ2世は

大学のカリキュラムに解剖学を1年間必須として入れたり、

50人の赤ちゃんによる人体実験なども行いました。

これは、赤ちゃんの発育にストレスがどう関わってくるかと

いう実験で、現代でも行われたことがないような実験だと思います。

 

またイタリアのサレルノを中心に大学もでき医学部もできました。

ドクトルという医者の資格もできました。

解剖学などはかなり進み外科技術も進歩していました。

しかし精神医療については、

キリスト教の医学は魂の救済が主で、病気の治療は他に任せる

という立場をとっていたため全く進んでいなかったのです。

中世は精神疾患の患者にとっても暗黒の時代で、

ヒステリーや精神異常は、それは神の罰、悪魔のしわざとして

魔女狩りに代表されるように牢屋に入れられたり、

器具で拘束されたりしていたのです。

 

中世も後半になってくると、さまざまな変化が訪れます。

11世紀後半から200年続いた十字軍の遠征によって、

ペストという病気がヨーロッパに持ち込まれます。

ペストは皮膚が黒くなって死んでいく伝染病であったため

黒死病と呼ばました。

14世紀から15世紀にかけての大流行では全世界で8500万人が

死んだといわれ、ヨーロッパでも2000万人~3000万人が死にました。

この頃の医療はペストの大流行をいかに防ぐかが大問題でしたが、

このペストに対しては当時の医学はなすすべがなかったのです。

副産物としてアロマテラピーという治療法が開始されました。

これは芳香剤を扱う業者にペスト患者が少ないことから生まれたのです。

 

 

中世の後半には ルネッサンス が勃興し、絵画、芸術、文化、建築をはじめ、

その大きなうねりが時代を越えてさまざまな分野に波及していきます。

自然科学、自由主義、ギリシャ回帰、ヒポクラテスへの医療回帰など。

レオナルド・ダヴィンチ、ミケランジェロ、など才能豊かな芸術家が多数現れ、

ダヴィンチやミッケランジェロは医学にも興味を示し解剖も行いました。

そういった大きなうねりが政治や医学にも影響を及ぼしていきます。

また、イギリスで起こった産業革命で新しい産業が生まれ、

都市には農民が集まり労働者が生まれ政治にも影響を及ぼします。

 

政治の世界では、17世紀から18世紀にかけて市民革命が起こりました。

市民革命はブルジョアジーが中心となって行った政治改革ですが、

これまで人々を縛りつけていた鎖がほどけて

人々は自由にものを考え、自由に行動するようになったのです。

キリスト教と絶対王政の封建時代が幕を閉じていったのです。

 

ヨーラッパルネッサンスの勃興によって、人々は自由にものを考えるようになりました。

しかし、まだまだ厚い壁も立ちふさがっていました。

一例として、ポーランドのコペルニクスの天文学の話しがあります (16~17世紀)。

コペルニクスは医者であり聖職者であったが、

毎晩の天体の観測から地動説と地球の自転を確信した。

当時はキリスト教の定義と異なる自分の説は封印せざるをえなかった。

ある時思い切って、このことをローマのカトリック法王に提案したが、

 「聖書の記述と異なる」

 ・「女性は男性より劣った存在である」

 ・「重いものの方が、軽いものより早く落ちる」

 ・「宇宙は地球を中心に廻っている」

       「脳は、血液を冷やすための器官である」

 

という説が当時は常識となっていたために受け付けてもらえなかった。

だがコペルニクスは死期が迫った時に、

 この『地動説』と地球の自転説を書いた本を出版した。

17世紀に登場した物理学者、天文学者のイタリアのガリレオ・ガリレイは、

 「コペルニクスの地動説は、間違いなく正しい」

と主張した。

キリスト教教会はこれに対して宗教裁判を起こし、

 2人の天文学者 ジョルダーノ・ブルーノは死刑、ガリレオは有罪になった。

こうしてキリスト教会はガリレオに地動説を撤回させたが、彼の残した言葉

 

 

「それでも地球は回っている」

 は有名である。

 17世紀になってもキリスト教会の力はまだ残っていたのである。

しかし

 「神が世界を創造し人間を創造した」

キリスト教の教説は、古代ギリシャの哲学、自然科学を

模範としていたが、もし間違いであったとしても続いていた。

しかし今まで抑えつけられていた自然科学への疑問や渇望は治まらず、

見直されていくことになる。

 

<ルネッサンスの原点>

 その源流はキリスト教の柱でもある古代ギリシャの哲学にありました。

古代ギリシャの人々は、世の中にあるものの本質、元はなにか

を考え、『アトム (原子)』というものが、ものの最小単位である

と考えていました。

古代ギリシャの哲学、自然科学、医学の思想は、

わかればわかるほどその凄さが感じ取れます。

古代ギリシャの人々は、自由にものを考え、自由に意見をかわし

議論を深めていき、真実はなにかということを探求したのです。

 

ソクラテス

『無知の知』

ということを言いました。

知らないことを知っていると思い込んでいる人々よりは、

知らないことを知らないと自覚している自分の方が賢く、

知恵の上で少しばかり優っている。

 

プラトン

『イデア』

を提唱しました。

ソクラテスの弟子であったプラトンは人間が見たり感じたりする世界

の他になにか目に見えない世界がある。

それはイデアという世界で、本当の姿、普遍の真理は

そのイデアの世界にあると考えました。

こういったプラトンの思想を反映したことのひとつに、

プラトニックという言葉があります。

これは肉体を超越した精神的な愛という意味になります。

  

 

アリストテレス

プラトンの弟子だったのですが、先生であるプラトンが

提唱したイデアを否定、目に見えないものの探求より、

目に見えるものを確かめ、分類していくことが大切と考えました。

現在の自然科学の分類や科学的思考の源流がここにもあります。

アリストテレスはアレキサンダー大王の先生でもあったので、

世界中から集まる膨大なものを観察したり、集まったたくさんの知識を、

まとめたり、分類する必要があったのかもしれません。

アリストテレスは医学では、ヒポクラテスの四体液理論 (血液、粘液、胆汁、黒胆汁)

に加えて、熱、寒、湿、乾の四つの要素を加えて、

病気を観察する必要を説いたのです。

このヒポクラテスの四体液理論にアリストテレスの四つの要素を加えて

四体液理論・体液病理学として体系化したのがローマのガレノスです。

しかし紀元476年のローマ帝国の滅亡によって、

キリスト教と国王による封建体制が確立してからは、

自由な発想はなくなり、自然科学や医学の大きな発展は

見られなくなりました。

 

<ルネッサンスから近代へ>

キリスト教と絶対王政の中世の後半になると、

ルネッサンスが始まり、古代ギリシャの哲学や自然科学、医学が

見直されてきました。その過程でさまざまな変化が現れます。

 

ルネ・デカルトは

フランスで生まれ、17世紀に活躍しました。

すべてを疑い、自分の力で考えて真実を探求することを提唱し、

行動を起こしていきました。

それゆえ、デカルトは近代哲学の創始者と言われました。

 「われ思うゆえに我あり」

と言うデカルトの言葉はあまりにも有名です。

 

イマヌエル・カントは

 ひとつひとつの言葉の意味をしっかり把握することが

大切であると考えました。

その一貫した姿勢ですべてを疑い、すべてを考え直す

  

 

その姿勢のことを批判という言葉で表しています。

純粋理性批判、実践理性批判などです。

カントは、ものを見たり聞いたりした時に感じることを

『感性』としました。

そしてそのものが何であるかを認識することを

『悟性』としました。

見たり、聞いたり、触ったりしたものを

形、色、大きさ、声、特長などを総合して組み立て、

そのものが何であるかを認識する機能が

私たちの体の中にあると考えたのです。

脳科学がまだ、発達していない頃に、脳の機能を

洞察するような凄さをカントに感じます。

そして、いろいろなものをしっかり把握して、

道徳や善、神などの本質を突き止めていくことを

『理性』としました。

特に大きなテーマとしては、欲求と道徳の関係だったようです。

またカントの理論の中にアンチノミー (二項対立)

と言う言葉が出てきますが、中医学の陰陽論に似ていて

おもしろいと思います。

 

これらの優秀な哲学者の出現と前後して

医学も次第に進歩し始めていきます。

 

<近代医学の始まり>

18世紀にはすばらしい医者がたくさん現れました。

宗教と医療が切り離され専門家していきます。その中から、

オランダの医師 ヘルマン・ブールハーフェとフランスの医師 フィリップ・ピネルが登場します。

ブールハーフェはオランダのライデン大学で臨床医学、臨床教育を行いました。

彼の講義を聞くためにヨーロッパ中から生徒が集まってきたのです。

ブールハーフェの臨床教育 システムと臨床病理 カンファレンスは現代医学の基礎を築き、

西洋の医者の半分はブールハーフェが育てたとも言われています。

 

ピネルはジャン・ジャック・ルソーなど思想家の影響を強く受けます。

ピネルは『心的療法』を掲げ、

心理学的臨床を重んじる精神理学療法を実施しました。

人道的理学療法によって薬の過剰投与を戒め、臨床による

  

 

心理学的な温かみのある理学療法を重んじました。

ピネルが フランスの人道的精神医学の創始者と言われる所以です。

ピネルは精神障害者をキリスト教の鎖から解放したのです。

このピネルの行動が瞬く間にヨーロッパ全体に広がります。

『無拘束の原則』です。

しかし、大半の精神科の病院ではまだ中世の拘束や鎖につなぐことが

続けられていたのです。

それから種の起源で有名なダーウィンの

『適者生存・自然淘汰』

という生物の進化論が、封建体制の旧勢力の後押しをする

皮肉な結果を生みだしたのです。

精神病で悩む人々は再び鎖につながれ、拘束されていくことになります。

 

19世紀になるとドイツのエミール・クレペリンが登場します。

クレペリンは1890年にハイデルベルク大学の精神医学の教授となりました。

そこで彼は患者の病歴と退院時の状況を書き込んだカードを用意し、

そしてその結果から精神障害を分類させていきました。

クレペリンは精神障害を13のグループに分類 しました。そのうちの二つは

早期性痴呆と躁うつ病です。早期性痴呆は現在の統合失調症です。

※統合失調症という言葉は、1908年にスイスのオイゲン・ブロイラーが提唱しました。

オイゲン・ブロイラーは後に出てくる フロイトとも研究など交流があります。

 

精神障害の分類は難しく、幅が広いため世界各国でバラバラに

そして医者の独自の判断で診断が行われていました。

これをまとめマニュアル化することで世界共通の精神障害の土俵

を築こうという試みが行われました。現在、世界的にもこれらのマニュアルを

参考に治療が行われています。クレペリンはその先駆けと言えるでしょう。

ただ精神障害は個人個人で症状が千差万別であるので、

 

 

このマニュアルですべてを診断できるわけではありません。

個々の医者の考えで診断が行われることになります。

 ※後述のDSMICDAPAなどがマニュアル (基準)として使用されています。

・精神障害の診断と統計マニュアル

(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DSM)

WHO国際疾病分類 (International Classification of DiseasesICD)

アメリカ精神医学会American Psychiatric Association ; APA)のマニュアル

 

精神障害やストレスに悩む患者に光が見えてきたのは、

19世紀の後半から20世紀になって、

オーストリアのジークムント・フロイトとスイスのカール・グスタフ・ユングなどが

現れてきてからです。

 

ジークムント・フロイトは1856年オーストリアで生まれ、ウイーン大学の医学部を卒業。

医者として活動を開始します。

フロイトは、さまざまな精神障害に悩む患者を主に診察していきます。

脳性麻痺、失語症、てんかん、ヒステリー、統合失調症や現代の心的外傷、PTSD

と言える病気まで幅広く診察していきました。

医者として患者を治したいという一心で、病気や病気の原因を

いろいろな角度から研究重ね、治療を実践していきました。

ヒステリーに催眠療法がいいと聞けば催眠療法を、

コカインがいいと聞けば、コカインを眼科の手術で麻酔として試したり、

神経症にもいいのではないかと試したりしました。

そういったもろもろの実践研究、治療のなかで、

フロイトの精神分析学を打ち立てていきました。

 

 

人間には快楽主義があり、自分の欲求を果たそうとします。

人間には、エス(イド) 欲求があり、その欲求をコントロールしようとする自我がある。

そして自我をコントロールする超自我がある。

この三つの要素がせめぎ合いながら人間は行動している。

欲求の中では、性的欲求(リピドー)が最も強く人間の精神状態に関与している。

性的欲求には、赤ちゃんから成人になるまで五段階がある。

口唇期、肛門期、エディプス期、潜伏期、性器期であり、

各段階で自分の性的欲求が満たされないと病気の原因となる。

精神障害で悩む患者の病気の原因は、

各段階での性的欲求が満たされていないことにあるのだが、

本人はそのことに気づいていない。隠されていることを発見しました。

フロイトは、『夢診断』や『自由連想』といった方法を駆使して、

精神病で悩む患者の病気の原因を突き止めていきます。

その過程の中で、人間は自分が意識して行動していることと、

自分が意識してなくて行動していることがある。

自分が意識していない状態のことを無意識と名づけ、

この無意識が患者に与えている影響が最も大きいと結論付けました。

無意識の大きな力によって人間の行動は大きく作用される。

フロイトが実践から導き出した、この精神病対策や精神分析学は、

後世の医学の精神分析学の基盤となるような偉大な理論でしたが、

キリスト教の倫理が根付いている世の中では批判されることが多かったのです。

ただ、てんかん、ヒステリーや統合失調症などの精神障害の患者が病気として認められ、

治療の対象になっていったことは大きな進展といえます。

 

時代の背景としては、精神障害者への治療として一般的には、

 

No 10

ロボトミー、水攻め療法、吐かせる療法、電気ショック療法などが

行われていたことも知っておく必要があるのです。

※ロボトミー 

脳の前頭葉を切り取って行う療法

 

【ストレスと言う言葉】

精神障害やストレスそして精神医学の歴史はこのように進んできました。

では実際に ストレスと言う言葉はいつ頃、どのような形で生まれたのを

見ていきましょう。

 

ストレスという言葉はいつ頃から使われたのか。

古代ギリシャ時代には、ストレスという言葉はありませんでしたが、

メランコリーやヒステリーという言葉は使っていたようです。

14世紀のヨロッパ中世にはストレスらしき言葉が現れ、

 

17世紀 自然科学、物理学 化学者 天文学 建築学 

などで幅広く活躍したイギリスの ロバート・フックのことを

『ロンドンのレオナルド(レオナルド・ダ・ビンチ)』

と言います。

ロバート・フックはバネにおもりをぶらさげる実験から、

弾性のある ばねの伸びに対して張力が比例する。

『弾性に関する法則(別名フックの法則)』

を発見。

またニュートンとは万有引力の法則や光の分析などでで激しく対立。

ストレスという概念を物理学の実験から導き出したのはロバート・フックです。

 

19世紀~20世紀 アメリカの生理学者、心理学者のウォルター・B・キャノンは

ストレスに対する身体の反応を具体的な事例で示していきます。
キャノンは、ほえる犬を前にして「戦うか、逃げるか」という

緊張状態にある猫の血中に、アドレナリンという交感神経系の神経伝達物質が

多く存在することを発見しました。
このようなときの身体の反応は

「闘争-逃走反応」とか「緊急反応」とよばれます。

敵に遭遇したときに、「闘うか、逃げるか」という状況です。
こういうときには心拍が上昇し、瞳孔が開き、消化管の動きは抑えられ、

戦闘モードの身体の状態になります。
これがストレス状態を初めて記述したものです。

 

20世紀 オーストリアの心理学者 ハンス・セリエは

外部からの刺激(ストレス)が加わったときの身体の反応には、

それがどのような刺激であっても共通した反応があるとして、これを
「一般適応症候群」と呼びました

セリエは、これには3つの時期(段階)があるとしました。

 

⑴警告反応期

 外的ストレスに対し、体の体制を整える時期で、

 心拍が上昇し、血圧は上昇、血糖値は上昇、体温は上がり、

 瞳孔が開き、消化管の動きは抑えられ、敵と闘う準備をする時期。
⑵抵抗期

  敵と闘う、敵から逃げることに全力を傾けている時期。
⑶疲憊(ひはい)
 高度のストレス状態が長く続くと、

  ついには適応しきれなくなって、疲憊して力が尽きてしまう時期。

 

この体のストレスに対する反応の段階を突き止めたことは、

以後ストレスの研究や治療に果たした役割は大きいと思います。

またハンス・セリエは副腎を摘出したマウスにはこういった3つの反応は起こらず

副腎皮質から出るステロイドホルモンが重要な働きを示していることを証明しました。

このような欧米の歴史の背景があって、

ストレスという言葉がさまざまな分野で使われ始めたのです。

認知症の予防と改善 原因 3.ストレス 2.中医学の精神医学の歴史とストレス

 

1.【中医学の歴史】

 

 

 〈最初に〉

認知症のひとつの原因であるストレス。

中医学ではストレスをどのようにとらえているのでしょうか。

ストレスそれに該当する中国語はなく、あえて言うとすれば『圧力 (ヤーリー)』です。

中医学のなかで取り立ててストレスという用語はないので、

中医学の歴史展開や精神医学の面から考えてみましょう。

 

⑴.〈古代中国の医学〉

 

古代中国では今から3000年以上前にも既に鍼治療の痕跡があります

当時は、化石や骨などを鍼として使用していたようです。

また残されている文献から簡単な外科手術も行っていたのです。

殷の時代には治療技術がすでに備わっていて、

後漢の時代、西暦200年までには医学の体系ができあがっていました。

世界最古の医学書と言われる『黄帝内経』だ。

 

古代の人たちは、人間と宇宙、地球、自然との関係を

鋭い観察力と洞察力で解き明かしていきました。

その宇宙や自然との関係から生まれたのが陰陽論、五行論です。

黄帝内経は陰陽論、五行論をベースに作られています。

そして大きくは『素問』と『霊枢』に分けられます。

素問は基礎理論であり、霊枢は鍼や灸などの治療法や実践方法

からなります。

 

数々の体験と観察と理論をもとに、治療を行っていくという

弁証論治を行っていくのが中医学の特徴です。

『弁証』とは『証』を得ることで、証とはその病気がどんな病気

であるかを決めていくことです。

『論治』とは証で求めた病気に対して、対処療法は何がいいのか、

根本療法は何がいいのかを決定することです。

具体的には鍼灸、按摩、薬草、食養など、その病気には

どれが一番ふさわしいか決定します。

そして弁証論治ができるとその処方はすでに決まっているのです。

 

証を求めるためには、

まず四診という方法で、患者を問診し、顔色、舌の色などを望て、

臭いなどを嗅いだり、呼吸の音を聞いたり、脈を触ったり、

生活環境、生活状態、季節や時間も加味して患者の診断を行います。

 

それからその病気の原因が『内傷』か『外感』かを判断します。

内傷とは体の中から起こる病気で、感情や臓器の状態をみます。

人間の感情、『七情』怒、喜、思、憂、悲、恐、驚の中でどの感情が

原因か、五臓六腑はどの臓器が痛んでいるのかを診ていきます。

 

外感とは環境が人に及ぼす要因のことで、風、暑、湿、燥、寒、火

などのことです。どの刺激が病気を起こしているかを診ていきます。

それから、その人の病気は内傷が強いのか、外感が強いのか

どちらの原因が強いのかを診ていきます。

 

弁証により証が決まると、論治である病気に対する処方は

決まっています。

どの病気には鍼がいい、どの病気には灸がいい、

どの病気にはどの薬草がいい、食事は何を食べたらいいか、

など、治療の体系がすでに出来上がっていたのです。

 

〈解剖〉

また体の解剖も行っていたようです。

それを裏付ける根拠の1つとして、陰陽五行論の五臓六腑があります。

この五臓六腑の分け方や臓器どうしの関連性がわかっていたことは、

非の打ちようがないほど感心します。

まるで体の中を覗いていたような感じさえするのです。

五臓は肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓で、

五腑は胆嚢・小腸・胃・大腸・膀胱です。

五臓のほうは中が詰まっていて、五腑のほうは空っぽです。

これは古代中国の人たちがいくら想像力が素晴らしかったとしても、

なかなかわかることではない。

また、人体の骨格や血管の長さ、内臓器官の大きさや容量は

現代の西洋医学の解剖学とほぼ一致するのです。

実際に見た人がいると考えたほうが説得力があります。

 

実際、伝説の医師 後漢の華佗 (かだ)は、

あらゆる治療を行っています。

華佗は世界で初めて麻酔を使い開腹手術を行いました。

麻酔は麻沸散 (朝鮮アサガオに他の麻酔剤を混ぜていた) を使い

葡萄酒で飲ませて開腹手術を行ったようです。

華佗の開腹手術においては、五臓六腑が体のどの位置にあるか、

五臓六腑がどういう働きで関連しているか、

また解剖の方法など熟知していないと、容易にはできないものです。

華佗は薬草の処方でも見事な腕前を示し、

人々から医者の神様と言われていました。

 

古代エジプト、古代インド、アーユルベーダでは大麻を麻酔剤として使用。

古代インカ文明ではコカを麻酔に使用して、外科手術が行われていました。

特に古代インカ文明では、穿頭術(せんとうじゅつ)が行われていました。

穿頭術とは頭蓋骨を切り取って行う手術のことで、

側頭部にけっこう大きな穴を開けて手術を行っていました。

当時の戦闘では石の斧やこん棒などの武器で闘ったので、

頭に負傷することが多く、その治療法として穿頭術を行ったようです。

それは、頭部に穴の開いたたくさんの頭蓋骨の発見で証明されています。

人類は紀元前にすでに、麻酔と解剖、外科手術の技術を

持っていたことは驚くべきことです。

 

古代中医学は解剖技術、開腹技術、麻酔技術がすでに

備わっていたが、それを発展させる方向には進まなかった。

それは手術よりも優れた陰陽五行論の医学があったからです。

中医学の根本思想は、病気の根治です。

また未病といって病気を事前に防ぐことです。

対処療法で手術も行うが、根本療法でいかに病気を治し、

予防し、いかに健康な体をつくるかということを考えていました。

そして体のことをすべて知り尽くしているという自信もあり、

また儒教の教えで体を切り刻むことが好まれなかったこともあり、

外科手術で患者を治すという方向には進まなかったようです。

 

⑵.〈中医学の歴史展開〉

 

〈覇権と易姓革命〉

中国の歴史は黄河の中心地区でいかに覇権をとるかがテーマでした。

黄河の中心を中原といい、その中原での攻防を繰り返してきました。

その中原の周りにいる部族を、東夷(とうい)、北犾(ほくてき)、

西戎(せいじゅう)、南蛮(なんばん)といいました。

そして中原の王朝の勢力が衰えると、東西南北に虎視眈々と構える

東夷、北犾、西戎、南蛮の部族が進入し王朝を征服していきました。

周辺部族と漢民族が入り乱れて王朝交代の戦争が延々と続き

歴史をつくってきたのです。

 

中国の歴史をみると漢人以外の王朝がほとんどで、

そのため征服王朝という言葉も生まれたのです。

また中国では『易姓革命』といって王が国を治める力が無くなったら、

それを打ち倒して徳のある人物が王に取って代わっていいという

思想がありました。

それ故、新しく覇権を築いた国王は、前の国王の政治を否定し、

思想弾圧、大量殺戮、粛清が繰り返し行われました。

王朝が変わる度に何十万という人びとが生き埋めにされたり、

むごい方法で殺害されてきました。

秦の始皇帝の『焚書抗儒』はあまりにも有名です。

宗教の経典を焼く、儒教の僧呂を生き埋めにするなどです。

国宝ともいえる宗教の経典や文化財産が焼かれ破壊されてきました。

医学書も例外ではなく、寸断されてきたので、

その補修や復活は大変な作業を必要としました。

『黄帝内経』や『神農本草経』が現代まで繋がって

残されてきたことは奇跡と言っていいのかもしれません。

 

黄帝内経〉

 

中医学の原点である黄帝内経は、

『素問』と『霊枢』の2部からなりますが、

自然哲学、天文学、医学と網羅している範囲が広く、

理解するのに時間がかかりました。

それ故、時代によって補修され、整理され、

研究が深められてきました。

 

〈難経〉 

AC23年~後漢

まずAC23年~後漢の時代に秦越人により『難経』が表されました。

難経は黄帝内経を補うもので、特に鍼の配穴は見事で、

臨床や治療が中心の書です。

配穴とはその病気に対して効果的なツボを複数使い、

より効果的に治療が行えるようにするものです。

その病気に効くツボで近くにあるツボ、同じような効果が望めるツボ、

また遠く離れていても効果が期待できるツボなどを組み合わせることです。

これに対して取穴とは、ツボを探すこと、ツボを取ることを言います。

 

〈傷寒雑病論〉

AC23年~AC 220

次にAC23年~後漢の張仲景が『傷寒雑病論』を表しました。

AC 220年ころと言われています。

傷寒雑病論は自然哲学的な理論の展開をいっさい行わず、

治療面、臨床を重視した専門書で、治療家必見の書と言われています。

傷寒雑病論は『傷寒論』と『金匱要略』(きんきようりゃく)

の2部からなります。

 

傷寒論は陰陽五行論が背景に貫かれていて、難解な部分もありますが、

金匱要略は陰陽五行論と離れて実用的な治療法や養生法が

書かれており治療家にはありがたい必読の書と言えます。

張仲景の住んでいた江南地方は薬草の宝庫でもあり、

あらゆる薬草の配合が可能なところでした。

また南方でもあり、伝染病が頻繁に起こるところでもありました。

従って実用的な薬草が常に必要とされていたのです。

そしてこの豊富な臨床経験もとに「この病気にはこの処方」

と的確な処方が完成されて、『証』さえ求めれば『論治』はここだよと、

中医学の根幹である弁証論治に大いに貢献してきたのです。

 

1115年~南宋と金

さらに最も黄帝内経の展開が進み内容が深められていったのは、

1115年~南宋と金の時代です。

南宋の席弘と金の金元四大家といわれる劉完素、張従正、

李杲(りこう)、朱丹渓です。

 

席弘は鍼派ともいわれ、独自の鍼の配穴や補寫の手法、理論に

優れていました。

 

劉完素は素問の中の六気を重んじ、その中でも病気の原因として

火熱がもっとも重要だとし、火熱を取り除く治療をたくさん行いました。

その意味で寒涼派と言われています。

 

張従正は劉完素の手法を受け継ぎ、風・熱・湿・燥・寒・火が

病気の根本原因であるので、それらの邪気を取り除けば

体に正気が蘇ると、寫法を中心に治療を行いました。

 

李杲は内傷の方に重点を置き、なかでも特に脾経・胃経に重点を置き、

脾胃が元気になれば病はなくなると、補法を中心に治療を行いました。

 

朱丹渓は正気を補うという補法を中心に治療を行いました。

老人の止まらない咳を止める補法を編み出しました。

正気を補い、火や熱を取り除く方法ということで

朱丹渓の『滋陰降火』と言われる所以です。

 

1616年~明・清

次に1616年~明・清の時代は温病学が盛んに行われました。

温病学とはそれまでの傷寒論に対するもので、

外感熱病で疫病のような急性の熱病や一般的な熱病に対しては、

これまでは傷寒論で十分だと治療法は傷寒論が中心でしたが、

それでは解明されない病気があるということで、

葉天士や呉鞠通による温病学が出てきました。

外感熱病の原因は風寒邪にあるとするのが傷寒論です。

温熱学では外感熱病の原因が温熱邪にあるとします。

 

呉鞠通はさらに熱病の原因を三焦弁証で説明しました。

三焦弁証とは熱病の原因を上焦・中焦・下焦と

症状を原因別に三焦に分けて治療行ったのです。

当初は医学者から否定されてばかにされていましたが、

現在では、外感熱病の原因は風寒邪と温熱邪に分けて

治療が行われています。

 

〈命門学説〉

また明や清の時代に『命門学説』が深く研究されました。

趙献可や張景岳がその中心でした。

趙献可や張景岳は 『難経』の『左腎右命門説』について

難経は黄帝内経を補完するもので、治療中心で鍼灸の配穴などに

優れていますが、左腎右命門説には矛盾があるとして、

さらに研究を重ね、命門学説を唱えました。

 

命門学説を語る時には陰陽五行論の心と腎それに命門

の働きや関係さらに君火と相火の関係も知らなくては

なりません。

陰陽五行論では心は火・熱を司り、腎は水・寒を司ります。

また命門は火を司ります。そして同じ火でも、

心の火と命門の火では働きが違います。

心の火はそのままでは五臓六腑に働きかけることができません。

命門の火が心の火を調整することではじめて、

五臓六腑は火を使うことができるのです。

そして心の火のことを君火、命門の火のことを相火といいます。

 

陰陽のバランスでは、心の火と命門の火が体や臓器を温め、

腎の水が体や臓器を冷やして陰陽のバランスを取っています。

命門は腎と陰陽のバランスをとっているだけでなく、

腎と五臓六腑と腎に繋がる髄や脳をも支配しています。

命門は陰陽が分離する前の太極すなわち宇宙の始まり

にもつながっているとします。

命門のツボの位置は背中側で脊椎の上、督脈上にあります。

この督脈の上を三焦経も流れていますが、

臍の真後ろ腰椎 2番と 3番の後ろ突起の間の窪みにあるのが

命門のツボです。

 

1636年~清

次に1636年~清の時代の王清任(おう しんじん)

特に解剖学や生理学を勉強し、病気で死んだ人があると

そこへ行き、体を観察し解剖しました。また刑場に行き、

死んだ受刑者の体を観察し解剖して臓器の位置などを

再確認しました。そして従来の臓腑説の誤りを正しました。

 

清の康熙帝は特にフランスの宣教師から数学、科学、医学などの

幅広い知識を得ていました。康熙帝がマラリアにかかった時、

中医学ではなかなか治らなかったのに、西洋医学の薬剤で

完治しました。康熙帝は自らの体験により西洋医学のよさを実感し、

西洋医学の保護と普及を行いました。

また宣教師による布教と並行して西洋医学も普及していきました。

さらにアヘン戦争で中国がイギリスに負けたことも西洋医学が

中国に大々的に広がっていく要因となったのです。

中医学はしばらく日の目を見ない危機的な状態になったのです。

 

〈中華人民共和国〉〈中医学再生〉

しかし第二次世界大戦後、中華人民共和国が誕生し、

毛沢東が政権を握ると、状況は一変します。

中国の伝統的な医学である中医学が見直されることになり、

中医学を手厚く保護し中医学の登用を指示しました。

現在の中国では、中医学と西洋医学の両方が認められていて、

中西医合体と言われています。

 

2.【中医学の精神医学】

2.【中医学の精神医学】

 

奇行の腑と脳〉

中医学で精神医学を語る時には、

五臓六腑と脳の関係を知らなければなりません。

この五臓六腑と脳の関係が複雑でわかりにくいのです。

 

脳は奇恒の腑に属します。奇恒の腑とは

臓でもなく、腑でもなく奇妙な臓器のことをさします。

食べ物の消化吸収に直接かかわらない臓器がほとんどです。

脳・髄・骨・脈・胆嚢・女子胞の6つです。

 

脳は髄の海とも言われていますが、
その脳内を満たす髄を腎がつくることから、

腎と脳の関係は切ろうとしても切り離せない関係にあります。

 

髄は骨の中と脳の中にあります。髄によって

脳と骨は活動することができます。

 

骨は人体を支える土台です。

骨により人間はスムーズな動きをすることができます。

 

脈は気や血が外に漏れないようにして栄養を運ぶルート、

西洋医学の血管のようなものです。

脈には経脈と絡脈があります。経脈は日本全国を走る国道、

絡脈は国道から枝分かれする県道などの道路のようなものです。

 

胆嚢は五臓六腑の腑なのですが、臓のような働きをすることから

奇恒の腑にも属しています。

 

女子胞は西洋医学の子宮のことです。
精とは〉

また精とは生命やエネルギーをさしていますが、

先天の精と後天の精があり、

人が生まれる時に宇宙から人間の体に宿る生命、

それを先天の精と言います。

先天の精は腎に宿り、人が生きていくための根本的なエネルギーです。

腎の精がなくなると人は死ぬといわれています。

 

後天の精とは大気から清気という気を肺で受けたものと、

食べ物を脾で血という栄養に変えたもの(水穀の精微)と合わせて

エネルギーとしたものです。

 

先天の精だけでは体を維持することができないため、

後天の精で補いながら人は生命活動を行うのです。

 

脳と五神〉

 

脳の働きは

視る、聞く、話す、触る、臭うという五感の活動、
考える、判断する、記憶するなど高度な精神活動

や手足を動かすなどの運動を行うものとされていました。

 

また精神活動には五臓六腑もかかわっているとみました。

その精神活動のことを神といいます。五臓六腑で合わせて五神です。

五神は人の精神的な生き方にかかわっています。

この五神の働きについて明快に具体的に答えてくれるものがなく、

私なりに勉強した範囲で語ります。

 

腎の神は志です。先天の精が宿る腎は人生の運命や進路に関わり

大きな目標を示します。

その腎の立てた目標に向かって行くとき、原動力となるのが

肝の神である魂と肺の神である魄(はく)と脾の神である意です。

 

肝は血を作り出しエネルギーを供給します。

大きく成長するために必要な魂を有します。
肺は清気を取り入れ全身に気のエネルギーを供給します。

清気は丹田に蓄えられ充実した気が体を動かします。

肺は魄を有します。

 

脾は食べ物を水穀の精微として体にエネルギーを供給します。

そのエネルギーで物事の決断をします。

脾は意を有します。意を決するとも言います。

 

そしてそれらを統括し調整しているのが心の神です。

心は脳と協力しながら精神的な活動を行います。

 

ただ五臓に不調やあるいは精神的な問題が生じたとき、

この五神の活動が妨げられます。

 

腎が不調になると、目標を見失い、恐れや恐怖の心が現れます。

そして気が抜けて、腰が砕けてしまいます。

 

肝が不調になると、推進力がなくなり怒りの心が出てきます。
怒りは頭に血を昇らせます。

 

肺が不調になると、憂いや悲しみが出てきます。

憂いや悲しみは気が消えてしまう、きっかけとなります。

 

脾が不調になると物事の決断力がなくなり、

とり越し苦労を繰り返します。そして気がしぼんでしまします。

 

心は物事がうまくいっている時は快調なのですが、

うまくいきすぎている時が危険です。喜びすぎて

気が緩んでしまうのです。心は神を有します。

 

甲子園の9回の裏ツーアウト ランナーなしからの逆転劇は

まさに気の緩みから起こります。

 「これで、もう勝った」と思うのです。

一方、負けている側は

「何としても粘ってやる」

と気を充実させてくるものですから、

気の緩みに付け込まれ、

あれよあれよという間に逆転劇が起こるのです。

 

 

〈癲癇(てんかん)〉 

また参考までに癲癇という病気に関しては、

西洋医学でも長年解決されなかった

『癲癇』『ヒステリー』『統合失調症』の中のひとつである。

急に病態が変わる症状 (精神病) については、

中医学でもその分類や処方にかなり苦労していたようです。

 

癲癇の癲(てん)とは、倒れるという意味で、

黄帝内経の時代にはその言葉がすでに存在していました。

ですから癲(てん)の治療についても

真剣に取り組んでいたと思われます。

 

宋の時代に皇帝の息子が癲癇にかかり、

中医学で治療された記録もあるようです。
同様に古代ギリシャのヒポクラテスは、てんかんを病気であると

見抜いていましたが、一般的には悪魔の仕業、神の罪、神聖病だとして

病気ではないと考えられ、患者は悲惨な目にあっていました。

 

中医学でも宗教によっては同じような扱いを受け、

大変な思いをしていたようです。

 

ストレス〉

 

中医学ではストレスという言葉は存在しませんが、

ストレスに対応するのは肝といわれています。

肝は「疏泄を司る」また「血を臓する」と言われています。

このことから、肝は新陳代謝や自律神経に対し重要なの働きを

しているとみます。

ストレスがかかると気血の流れが滞り、新陳代謝や自律神経の

不調が起こります。そしてその役割を担っている肝が

一番影響をこうむるとみるのです。

そして肝の不調は他の五臓に影響を与えるのです。

ですから、ストレスの場合はまず肝のケアを考え、

次に 五神はどうなっているのか、七情はどうなっているのか
外感が強いのか、内傷が強いのかなどの具体的症状をみて、

対応していくことになると思います。

〈認知症〉

中医学では認知症という言葉はありません。

呆症、健忘症という言葉はあります。

認知症は老化現象としてみていくようです。

中医学に『異病同治』と言う言葉がありますが、

病気が違っても、その病気の原因が同じであれば、

同じ治療をするというものです。

また同じ病気でもその原因が違えば、治療は異なるというものです。

老化現象に最も関わる臓器は腎です。

命の元である先天の精は腎に宿ります。

そして、その人の人生の最後まで火をともしてくれます。

その腎の精気が消えていくとき人は死を向えます。

人の成長や老化は腎が司ります。

ですから、認知症の治療は、まず腎が中心です。
そして具体的な症状を診て、治療の展開を考えるのです。

認知症の予防と改善 4.ストレス 3.ユマニチュード

 

認知症改善の方法 4.ストレス ユマニチュード

 

 1.    ユマニチュードとは

 

 ユマニチュードとはフランスのイブ・ジネストロゼット・マレスコッティにより

開発された包括的メソッドのひとつで、34年間の実績を誇る。

特に高齢者や認知症のケアに成果をあげており、

世界から注目が集まっている。

ユマニチュードの会員になっている国は、現在5ヶ国。

日本も5番目に会員になった。

 

2.    ユマニチュードの内容

 

      評価をし目標を立てる

    回復を目指す

    機能を保つ (悪化しないように)

 ③   共にいる (そばに居て、穏やかに死を迎える)

 

      ケアの実践の基本

    見つめること

    話しかけること

    触れること

    立つこと

 

この基本が確認されたら

『見つめながら会話位置へ移動する』

『アイコンタクトが成立したら2秒以内に話しかける』

『言葉をかけながら、相手に静かに触れる』

 などケアの内容は豊富で具体的、150種類以上ある。

 

      ユマニチュードの精神

『人とは何か』

『人間の尊厳』

介護の対象は人間である、人にやさしく

という精神にあふれている。

 

3.    イブ・ジネストさんとロゼット・マレスコッティさんの現場実践

 

イブ・ジネストさんが日本に来日され介護施設で実践を行った。

介護職員や看護師の言うことを聞かなかった寝たきりの老人。

イブ・ジネストさんがやさしくその老人のケアを始めたところ、

老人は立ち上り、介助されて歩き始めた。

なんと誰もが信じられない光景がそこにあった。

また口腔ケアを嫌がり、3人の看護師が協力しても

絶対に口を開けなかった寝たきりの患者さん。

イブ・ジネストさんがやさしくケアを始めると、その老人は心を開き始めた。

拘束されていたミトンと足のカバーを取ると、

片足ずつ足を高く上げ、足のリハビリを始めた。

そしてベッドの脇で立ち上がると介助されながら歩き始めた。

さらにベッドに戻って自分から口を開け、口腔ケアに応じてくれた。

イブ・ジネストさんが帰った後に、車イスから立ち上り

自分から歩こうとし、介助されながら歩行した。

驚きの瞬間だ。

 

ユマニチュードはその場でもすぐに結果が表れる。

そこには私たちが見落としていた介護の現状があったのだ。

私たちは患者さんを人として扱っていたか、

患者さんの人格を尊重して介護にあたっていたか、

時間に追われ、事務的に介護を行っていなかったか、

私たちは反省し、ユマニチュードを勉強し実践しなければならない。

 

4.   日本でのユマニチュード普及活動

 

東京医療センターの本田美和子 看護師を中心に日本各地への

  ユマニチュード普及活動が行われている。

 

5.    現在の介護の問題

 

 今、介護の現場では慢性的な人手不足、

看護師や介護士が十分に揃っていない施設が多い。

そんな環境の中で、介護はどうしても時間に追われ、

事務的にならざるをえない。

患者さんを人間として扱わず、ものとして扱わざるをえない。

介護をめぐる環境や職場の条件もおかしい。

給料は安い、仕事は大変、患者から怒鳴られる。

介護は人海戦術で臨まなければならないのに、

それができない。

 

 また介護制度の矛盾もある。

患者の病状が良くなれば、点数が下がり、

その施設の収入は減ってしまう。

逆に患者の病状が悪くなれば、点数が増え、

その施設の収入は高くなる。

これでは労働環境もさることながら、

働く意欲が湧いてこようがない。

 

イブ・ジネストさんは言う。

最初、その患者に手がかかっても、

患者と介護士や看護師のコミュニケーションができると、

その後は作業も患者の同意が得やすく楽になる。

その結果その患者にかかる人手でも少なくて済むようになる。

日本でも、そろそろその辺を真剣に検討しないと、

大変なことになる。

 

 

 

<ユマニチュード補足>

 

   見つめること

 

認知症の人や高齢者は視力が衰え、視野も狭くなります。

視力は510歳で最も発達し20歳前後にピークを向えます。

それ以降は少しずつ視力は低下していきます。

それと白内障などの目の病気多く、ものを見る力は衰えていきます。

 

私たちはものを見る時、中心視野と周辺視野を使っています。

中心視野は左右に510度の範囲でかなり狭く、

ものをしっかりとらえて確認する働きがあります。

それ以上の範囲は周辺視野が担います。

周辺視野で大まかな情報をとらえ、中心視野で確認する

という動作を私たちは瞬時に行っているのです。

 

認知症の人はこの周辺視野で情報をとらえる能力が低下しています。

ですから視野がかなり狭いのです。

そして動態視力というものがありますが、

動いているものをとらえる目の力です。

これも周辺視野の機能が衰えると、かなり低下します。

ですから認知症の人の前で早く動くと視野に入りません。

動く時もゆっくり心掛けなければなりません。

視野の低下は無関心を呼び起こします。

 

私の母の場合もそうですが、

 

「テレビがよく見えない」

 

「もう少しよく見えるようになりたい」

 

と言います。

ソファーに座っていてもテレビを見ているのか

見ていないのかよくわかりません。

挙句の果てに結局 眠っています。

テレビが見えにくいから無関心になるのです。

テレビからの情報も入ってこないため、脳の働きが衰えます。

 

認知症の人に会う時は、

まずその人の視野に入ることから始まります。

510度というとかなり狭い範囲です。

真正面からわずかの範囲です。

相手との距離もかなり近くまでいく必要があります。

目の前までといったらいいでしょうか。

目の高さは相手と同じかそれよりも低いほうがいいようです。

見下ろすことは相手に脅威となるからです。

 

   話しかけること

 

高齢の方や認知症の人は聴力が落ちています。

音が聞こえにくいために大きな声で

何度も話さないと相手に声が伝わりません。

ですから大きな声で、ゆっくりと話すことが大切です。

一言一言聞こえているか確認しながら話すことが大切です。

特に小さな声や甲高い声は聞き取りにくいようです。

普通の会話は何を言っているのかわからないので、

会話に参加できません。

また自分から話をしようという意欲が湧かないのです。

このような耳の衰えも無関心となる要素です。

 

私の母も

 

「テレビの音がよく聞こえない」

 

と言います。

家族が速い言葉で言った時は

 

「わからない」

 

と言います。

補聴器が外れていることもあります。

補聴器が外れていることに気付かないのです。

大きな声で、わかりやすく、丁寧に、

喋らないとこちらの言うことが伝わりません。

後ろ向きになっている時はまったくといっていいほど、

言葉が伝わりません。

相手の視野に入ってから正対して話すことが大切です。

 

触れること


私たちは、人に触れることをいつもやっています。

触れることの効果や大切さは嫌というほど感じています。

足首を回すだけで、みなさん気持ちがほぐれてきます。
フットセラピーの施術を続けると、うとうとされてきます。

そして、いつの間にかすーすーと気持ちよさそうに休まれます。
夢と現実の間を行ったり来たりするような不思議な感覚です。
初対面の人でも、この触れるということでコミュニケーションが芽生えます。


ですから介護する場合は、この『触れること』は必修なのです。
イブ・ジネストさんは長年の介護現場での経験から、
『触れること』の大切さを学ばれたと思います。


末期のがん患者さんには慰めの言葉は通じません。

足をゆっくり、やさしく回していくと顔色がぽーっと赤くなります。

患者さんとコミュニケーションが生まれた瞬間です。

ですから、認知症の患者さんに、いきなり触るのではなく、

患者さんと目を合わせて、

それから、ゆっくりと触っていくことは劇的な効果を生みだします。

 

④立つこと

 

赤ちゃんが成長する過程は凄いですね。

まず首が座ることからすべてが始まります。

首が座るようになると、寝返りを打ちます。

それからお座りをするようになります。

そして四つんばで、はいはいが始まります。

それからしばらくしてから、立つことを始めます。

そして一歩一歩進む、よちよち歩き。

この頃になると赤ちゃんから目が離せなくなります。

ここまで赤ちゃんが成長するでには、

何回、何百回、何千回と同じ動作を繰り返して、

それぞれの動作に必要な筋肉を獲得していきます。

そして赤ちゃんはひとつずつ段階を経て立って歩けるようになります。

 

人間は二本足で歩くことで異次元の世界を手にしました。

自由になった両手を使って飛躍的に進化を遂げました。

今やパソコンやさまざまな道具を発明し、それを使って、

動物界の頂点に君臨しています。

立ち上り二本足で歩けることは人間のすべてであり、

プライドであり、そこに尊厳があるのです。

 

四つ足から立ち上り、二本足で歩く、手を使うようになる、

さまざまな道具を使いこなせるようになるという

この壮大なドラマの経験は私たちすべて人間の潜在意識の中に

刷り込まれています。

歳をとり、さまざまな動作ができなくなる、

これはとても悲しいことです。

 

 「自分ももう歳だから」

 

と言っていますが、本音ではとても悲しいのです。

ですから、歩くことができなくなった人が、あるいは寝たきりの人が、

立ち上り歩けるようになると、途端に元気になります。

人間としての尊厳やプライドが戻ってくるのです。

私たちは、人が立つことがいかに大切で重要なことであるかを、

しっかりわかって介護のプランを組み立て、臨むことが必要なようです。

 

イブ・ジネストさんは言っています。

最初は人手と手間がかかりますが、

丁寧な介護を行うことで、患者さんとコミュニケーションが芽生え、

よき信頼関係が生まれます。

結果的には、介護がスムーズになり、人手も減り、

時間もかえって短縮できるのだそうです。

 

認知症の予防と改善 4.ストレス 中医学によるストレスへの対応

 

中医学のストレス治療

 

ストレスによって起こる代表的な症状は、

胃が痛くなる、胃に穴が開く、とにかくきつい、肩がこる、

頭が痛い、眠れない、食欲がない、体がだるい、体が冷える、

汗が出る、息が苦しいなどです。

 

ストレスは一般的には、精神的なストレスをいいますが、

ストレスを体に与える刺激から幅広く分類すると 4種類になります。

 

・精神的なストレス

・構造的なストレス (体の構造的なストレス、体の歪み)

・化学的なストレス (化学薬品、洗剤、臭い、火傷)

・寒熱によるストレス (寒さや暑さによる寒暖の変化)

 

4つです。

 

中医学では、ストレスという言葉はありませんが、

 

外からの刺激、内からの精神的な刺激が体に大きく影響を与える

という考えが中医学の古代からあります。

そしてそういうものの総称をストレスというなら、

ストレスはを痛めると判断します。

肝は疏泄を司るといわれ、血を貯え各臓器に血を流します。

各臓器へ血の配分を調節しています。そのことで、

肝は新陳代謝と自律神経の働きも兼ねているといえます。

肝は伸び伸びと働くことで力を発揮するので、

それが阻害されると落ち込みます。

そのことからストレスは肝を破ると言われるようです。

 

肝以外でストレスと関係が深いのが精神的な働きを束ねているです。

中医学では五臓六腑も精神的な働きがあり、

それぞれ役割があるとしています。

この精神的な役割を神といいます。五臓六腑といいますので、

 

5 = 5 となります。

 

この5神を束ねているのが心なのです。

 

さらに心の熱を体の全身にエネルギとして変換して流しているのが

心包三焦です。

心包は中枢の血の流れを、三焦は抹消の血の流れを

担当しています。

この心包と三焦は全身に熱を供給する傍ら各臓器の調整も行っています。

結果、新陳代謝と自律神経の働きにも関係しているのです。

 

そして五臓六腑以外の臓器のことを奇恒の腑といいます。

・骨・髄・脈・胆嚢・女子胞の6つの臓器のことです。

認知症のストレスには当然、脳との関係も考えられますので、

脳も対象になります。

脳と最も関係が深い五臓六腑はです。

 

脳や骨の中は髄で満たされています。

その髄をつくっているのが腎なのです。

脳は髄の海とも言われ、腎との関係は切っても切り離せないのです。

腎はその他に水で体を冷やす働きがあります。

水とは津液のことで、その津液を調整することで、

陰陽のバランスを取っています。このことから腎もまた

新陳代謝と自律神経を調節する機能があることになります。

 

またその人の症状や原因によって、さまざまな症状が出てきます。

外感、外邪、内傷、六淫六邪、七情などです。

それらを総合的に診断し、証を決め治療を行います。

 (※証とは、その人が病気になった背景や原因を探り、

 病気を特定することです。)

 

ですからストレスに対しては肝、心、心包、三焦をベースとしながら、

腎と脳にも配慮しつつ、具体的なストレスの原因を調べ、

そのストレスの原因が体にどのような影響を与えているか

どの臓器が弱っているのかなどから探っていくのです。