2.排便のメカニズム

 

 便秘を解消するにあたっては排便のメカニズム

まず最初に知っておかなければなりません。

 

① 直腸に便が溜まる                                 直腸

     ⇓                 ⇓

② 仙髄の排便中枢に情報伝達が行われる  仙髄の排便中枢

     ⇓                 ⇓

③ 大脳へ情報伝達が行われる       視床下部 → 大脳皮質

 「便を出す」                 ⇓

 「我慢する」              選択判断

 のどちらかを大脳は判断して指令を出す     ⇓

④ 排便指令が出される          排便指令            

     ⇓

➄ 腹筋が収縮

     ⇓

⑥ 腹圧が高まる

     ⇓                 ⇓

⑥ S状結腸から直腸に便が移動する    便の最終移動

     ⇓

⑦ 肛門括約筋が弛緩

     ⇓                 ⇓

⑧ 排便                 排便

 排便はこのような流れになっています。

 

もし直腸に便が溜り

仙髄の排便中枢に情報伝達が行われても

排便を我慢してしまったらどうなるでしょか 

 

そしてそれが何度も繰り返されてしまったら、

排便の情報伝達も狂ってくると考えられます。

 

この私たちの体に自ずから備わった

排便のメカニズムを無視すると大変なことになるのです。

 

ですから便意が起こったら必ず排便する

習慣を身に付けることは大切だと思います。

 

 

復習です。「便意を我慢すると どうなる ?」

 

1.水分が過度に抜けて便が固くなる

2.直腸が鈍感になる

3.悪玉菌が増えて腸内環境が乱れる

 

ことも知っておいてください。

 

※大脳の判断に、『便を出す』『便を我慢する』

 と二通りの判断がありますが、なぜでしょうか ?

 

 まずひとつ目に、体の仕組みがあります。

 立ったり、寝ている姿勢では

 肛門と直腸の角度は鋭角になり、

 すぐには便が出せないようになっています。

 

 便意が出てからすぐには便が出ないように

 なっているのです。

 

 座位になって、排便の準備が整ってからはじめて

 便を出すようになっています。

 

 座位の姿勢になると肛門と直腸の角度が鈍角になり、

 便意も起こり便が出やすいのです。

 

 この直腸の角度を調整してくれているのが

 骨盤底筋群のなかの一つである恥骨直腸筋です。

 

 また便を我慢する時になくてはならない筋肉が

 外肛門括約筋です。

 

 外肛門括約筋は随意筋で自分の意志で 

 コントロールすることができます。

 

 ※骨盤底筋群とは

  骨盤を下から支えてくれている筋肉群です

   骨盤の中には大切な臓器がぎっしりと詰まっています。

 

  骨盤底筋群は内から外から何重にも層をなし、

  ハンモックのように骨盤内の臓器たちを

  下から しっかりと支えて守ってくれています。

   

 〈介護の現場では〉

  いかに座位の姿勢をとることができるかどうかで

  排便の状況が大きく変わってきます。

 

  排便がスムーズにできるかどうかは

  介護の中で特に重要な要素になるので、

  とても大切なことなのです。

 

2つ目は、昔は私たち人間を含めて弱い動物たちは、

常に危険を察知することが必要不可欠でした。

 

弱肉強食の世界に身を置く私たち人間にとって、

試練の歴史が長い間つづいていたのです。

 

現在も自然界では弱肉強食は当たり前のルールであり、

動物たちはその自然の法則ともいえる

ルールの中で生きています。

 

もし強いものに襲われたら、咄嗟に逃げないと殺されます。

そんな時に便意が出てしまったら逃げられません。

 

ですから大脳の判断には『便を出す』『便を我慢する』

の二通りがあるのだと思います。

 

今は、人間は自然界の頂点に立っている状態です。

それが、いいか悪いかは別として、

私たち人間は安心して安全に排泄をすることができます。

 

であるにも関わらず、

便意が起こっても我慢することは問題です。

 

そのことが自分自身の体に恐ろしい便秘となって

跳ね返ってくるということを

知っておかなければなりません。